ソウルを拠点に活動するオルタナティブ・バンド、off the menuによる『off the menu Tour 2024』、その東京公演が10月2日にSpotify O-nestで開催された。
off the menuは2年前に恵比寿はKATAで初めての来日公演を行っており、今回は日本での2度目のライブだ。共演を務めるのは東京を拠点に活動する5人組R&BバンドHALLEY。会場に着くとすでに多くのお客さんで賑わっており、それぞれのバンドのファンが今か今かと開演を待っている様子。もちろん前回のライブも良かったのだけど、ここ日本でも着実に人気や期待が高まっているのが伝わる。
公演はHALLEYのライブからスタート。のちにoff the menuのアン・ジョンジュンやイ・スンミンも触れていたが、素晴らしい内容だった。ジャズを下敷きにポップにアレンジしたR&Bを中心に、Earth, Wind & Fire「Can't Hide Love」などカバーも交えて1時間以上のロングセットを飽きさせることなく魅せていた。
例えば「Daydream」は洒脱なR&Bで、韓国のCrushなんかとも親和性を感じさせるし、「From Dusk Till Dawn」でのアグレッシブなドラムなどは、バンドとしての地力の高さを感じさせる。
私はアジア各国のポップミュージックを「都市音楽」として紹介したディスクガイド『アジア都市音楽ディスクガイド』でoff the menuのことを紹介した経緯もあり、このライブレポートを書いているのだが、HALLEYもこの都市音楽の潮流に位置づけられるだろう。ブッキングの妙を感じる。
HALLEYのライブが終わり、ビールを買い忘れたことを後悔しながらメモをまとめていると、サウンドチェックをしているアン・ジョンジュンがフロアに何やら呼びかけている。もうoff the menuの出番だ。ビールが飲みたい。
off the menuのライブがスタートすると、久しぶりの日本でのライブに本人たちも高まっているのか「off the menu」「Demo test」「Driven Anxiety」などダンサブルなナンバーを次々と披露。会場の温度感も高く、前回のライブ以上に一気にoff the menuのテリトリーにグッと引き込まれた。
続いて披露した「About love」や「Cherokee」「정착 (Settle Down)」では、改めて彼らの楽曲の完成度の高さをひしひしと感じた。サウンドのスケールというか、大きな会場もきっと似合うバンドだと思う。
途中機材トラブルもあったが、知っている限りの日本語を総動員して乗り切り、「Shell」を披露。彼らの曲の中でも特に好きな曲だが、全く中断を感じさせない。ちなみに、BUZZY ROOTSのインタビューでも分かるように、off the menuとHALLEYは通じ合う所が多くあったようで、MC中にちょくちょくステージとフロアで喋っていて面白かった。グローバルとか書いてしまうと陳腐だけど、音楽は、というかあらゆる趣味はしばしば自分と似たような人間と出会えるから面白いですね。
「Aussie Blues」からはギアをあげていき「Lovers in Seoul」「The Wall」などキラーチューンを投下。しっとりとした「No way home」を挟んで会場を一度引き締めたあとは、「The Void」「Canyon」を立て続けに披露し「Mosaic」でフィナーレへ。
本編終了後は、メンバーが袖へはける間もなくアンコールの声が沸き起こり「Mona Lisa」を披露。ワンマンライブなみの満足感を残して(実際1時間半以上やっているのだけど)、『off the menu Tour 2024』東京公演の幕が閉じた。off the menuというバンドの成長をまざまざと感じさせる内容だった。次はどこでやるのか今から楽しみだ。
Setlist
<HALLEY>
1.Breeze
2.Comfy
3.Can We Talk
4.Daydream
5.Whim
6.Can't Hide Love (Cover)
7.Sugary
8.‘Cause It's Too Cold To Walk Alone
9.Lemonade
10.sobeautiful (Cover)
11.Write Me a Love Song
12.From Dusk Till Dawn
13.Set Free
14.Clear Mind
15.Chicken Crisp
<off the menu>
1.off the menu
2.Demo test#2
3.Driven Anxiety
4.Cherokee
5.사랑에 대하여 (About love)
6.정착 (Settle Down)
7.Shell
8.Castaway
9.달력 (Calendar)
10.Aussie Blues
11.Silhouette
12.Lovers in Seoul
13.The Wall
14.No way home
15.The Void
16.Canyon
17.Mosaic
Encore
18.Mona Lisa
Writers
- ヤマダ
Photographers
- miyashita natsuko