『J.E.T TOUR SERIES [lIlBOI&HAON Supporting Act：Woodie Gochild]』ライブレポート

「J.E.T. TOUR SERIES [lIlBOI & HAON] presented by. WON SOJU」が4月21日に東京・WWW X、23日に大阪・GORILLA HALLにて行われた。今回は東京公演の様子をレポートする。

ファンの期待がフロアに渦巻く中、最初にサポートアクトのWoodie Gochildが登場。彼は2017年放送のHIPHOPサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』シーズン6へ出演し、オートチューンを駆使したトレンディなラップスタイルで注目を集めた。惜しくも本選で脱落してしまうものの、番組終了後にJay Park率いるレーベルH1GHR MUSICと契約。個人の作品や客演でその独特のスタイルを誇示している。

冒頭からサイバーなサウンドが特徴の「M.O.M」、夏の夜の暑さと開放的な雰囲気を感じさせる「Cotton Candy」「Coco」と強いグルーヴを感じさせる楽曲をパフォーマンスし、観客を煽りながら徐々に会場の温度を高めていく。

HIPHOPサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』シーズン9から火が付きRemixバージョンのリリースなどを経て2021年のK-HIPHOPシーンを代表する1曲となった「VVS」を披露。高まったテンションのまま代表曲「JACKSON」で自らの出番を締めくくった。

「Who’s next!?」とWoodie Gochildが呼びかけると楽曲「Jalapeno」のバースをアカペラでキックしながらlIlBOIがステージに上がる。間髪入れずに「100」「ON AIR」をパフォーマンスし、超絶技巧としか言いようのない圧巻のデリバリーで会場を沸かせる。Woodieもフック部分やアドリブで楽曲に参加し、思わぬコラボレーションに会場は歓声で応えた。
Woodie Gochildからマイクを受け継いだlIlBOIは「WASABI(WASABI room freestyle)」「vv2 remix」とオーセンティックなBoombapビートに載せてその底無しのスタミナと確かなラップスキルを魅せる。

硬派なビートの楽曲だけでなく、シティポップの雰囲気を持つ「Freak」やファンク調の「Travelin’」などの楽曲でも観客を魅了。彼の聴き取りやすい発声とラップのキレが、キャッチーでポップなビートであってもHIPHOP的な感性や聴き応えを両立させている。
MCでは「もし『Woodie GochildとHAON見に来たのにあいつ誰だ〜』と思われたらどうしようと……」と笑いながら話していたものの、所属ユニット・Geeksの出世作「Officially Missing You」、K-HIPHOPシーンを牽引するラッパー/プロデューサーGIRIBOYとの楽曲「Tomorrow」、これまでのキャリアを振り返る歌詞がエモーショナルな「CREDIT」など彼のライブでの定番曲では観客のシングアロングが起き、韓国と変わらない日本のK-HIPHOPリスナーの熱量を感じた。
ただ”ラップが上手い”というのではなく、ライブならではのフロウの緩急とアドリブ、観客とのコールアンドレスポンスに至るまで、確かな実力とキャリアの長さから来る安定感が堪能できるステージングを見せステージを後にした。

短いセットチェンジを挟んでHAONが姿を表すと、「Pourin’」「NOAH」とアッパーな楽曲を立て続けに披露。高速のフロウを事も無げに繰り出すクールな様子に、フロアの空気は更に熱を帯びていく。哀愁漂うギターの音色が印象的な「Over You」、aespaジゼルとのコラボレーションで話題を呼んだ「Skrr」では打って変わって落ち着いた雰囲気を展開。特に「Over You」では、恋い焦がれる気持ちを率直に表現した歌詞を呟くようなやや掠れた質感のボーカルに載せて歌う姿がなんともエモーショナルだった。

最新フルアルバム『HAONOAH』収録の「BASTARD」「Rabies」などに加え、彼がフィーチャリング参加したMIRANI「Achoo」と彼の人気楽曲を余すことなく披露する中、「スペシャルゲストがいます」「まさか……？」とHAONから突然のアナウンスが。身体ごと揺さぶる低音が鳴り響く中サプライズでSik-Kが登場すると、日本でも人気が高い彼の突然の登場にフロアから大きな歓声が上がった。2人が所属するレーベルの名を冠した「KC(BUST IT DOWN)」をエネルギッシュにパフォーマンスし、フロアを興奮の渦に包みこむ。Sik-Kの出演はわずかな時間に限られていたものの、それでも会場を掌握するかのような存在感を放っていた。去り際に交わされたHAONとのハグからは、2人の熱く厚い友情と信頼関係がひしひしと伝わってきた。

Sik-Kと入れ替わるようにWoodie Gochildが再び登場すると、「WATER」「GIDDY UP」などH1GHR MUSICのアーティスト達がコラボレーションした楽曲を息の合ったステージングで魅せる。最後にはlIlBOIも登場し、3人全員が参加しているGroovyRoom「FASHO」、H1GHR MUSICのアーティストが集合したコンピレーションアルバム『H1GHR:RED TAPE』から「The Purge」を披露し公演を締めくくった。

Woodie Gochild、HAON、lIlBOIにSik-KとH1GHR MUSICと縁の深いアーティストが集結した今回の「J.E.T. TOUR SERIES」は、オールドスクールなBoombapから現代的なTrap、R&Bの要素を含んだ楽曲に至るまで、バラエティ豊かなK-HIPHOPシーンの現在が感じられる充実した内容だった。「J.E.T. TOUR SERIES」は今後も毎月東京と大阪にて開催される。どんなアーティストが登場するのか、今後のラインナップからも目が離せない。

Setlist

Woodie Gochild
1.M.O.M
2.Let’s Get It
3.YA TA
4.Cotton Candy
5.Coco
6.ON MY WAY
7.Verse Medley (How We Rock, The Arrival, VVS REMIX)
8.JACKSON

Woodie Gochild & lIlBOI
1.100

lIlboI
2.ON AIR
3.WASABI(WASABI room freestyle)
4.Superstar
5.BE!
6.HIGH
7.FREE STYLE + vv2 remix
8.Freak
9.Travelin’
10.Officially Missing You
11.Tomorrow
12.Pray
13.CREDIT

HAON
1.Pourin’
2.NOAH
3.Bar Code
4.Over You
5.Skrr
6.BASTARD
7.Rabies
8.Chill
9.Achoo
10.KC (BUST IT DOWN) [With Sik-K]

HAON & Woodie Gochild
1.4eva
2.No Rush
3.WATER
4.GIDDY UP

lIlBOI & HAON & Woodie Gochild
1.FASHO
2.The Purge