Jay Park、本名パク・ジェボム。K-HIPHOPファンは勿論、K-POPや韓国以外のHIPHOPリスナーも一度は彼の名前を見たことがあるだろう。Jay Parkは2010年代から韓国国内のHIPHOP、ひいては大衆音楽の第一線で活躍してきた、彼の言葉を借りるなら「HIPHOPシーンのゴッドファーザー」だ。開催が迫ったワールドツアー「Serenades & Body Rolls」の日本公演に合わせ、彼の長い長いキャリアから代表曲と共にその魅力を紐解いてみよう。

Jay Parkは1987年4月25日、アメリカ・シアトル出身に生まれる。オーディションと練習生期間を経て2PMのメンバーとしてJYPエンターテイメントよりデビューし、翌年にグループを脱退。その後2010年7月にレーベル・sidusHQと契約し、ソロアーティストとして韓国で再デビューした。
sidusHQとの契約が満了となった2013年、シアトルで所属していたブレイクダンスチームAOMから発展させた音楽レーベル・AOMGを設立。2017年にはシアトルと韓国を基盤とするレーベル・H1GHR MUSICを設立し、2つのレーベルでラッパーやR&Bアーティストを送り出してきた。
2022年3月3日に新たなレーベルMORE VISIONを設立。eスポーツチームGen.G Esportsの音楽・エンタメ顧問としての活動や、韓国焼酎ブランドWON SOJUを発足させるなどその活動は多岐に渡る。
キャリア初期から重鎮ラッパーThe Quiett、Dok2らと共に精力的に楽曲をリリースし、アメリカの地で培われたグルーヴ感とクリアーな発音を活かしたフロウ、クオリティの高い楽曲でラッパーとしての地位を確立。2015年リリースのアルバム『WORLDWIDE』には総勢27名のアーティストをゲストに招き、シアトル時代から親交のあるCha Cha Malone、ラッパーとしても活動するGRAYなど実力派プロデューサー陣による多様なビートの上でその実力を力強く証明した。

その人気が高まっていくにつれポップな雰囲気の楽曲も増えていくが、韓国国外のアーティストも多数ゲストに招いたアルバム『The Road Less Traveled』やDJ WegunとのジョイントEP『Everybody Sucks』、H1GHR MUSICのレーベルコンピレーションアルバム『RED TAPE』などを聴くとテクニカルかつドライブ感のある彼のラップスタイルが常に研ぎ澄まされ続けていることがわかる。

繊細なトーンのボーカルもJay Parkの魅力の1つだと言えるだろう。2016年リリースの「All I Wanna Do」では、Trapベースの軽快なビート、そして伸びやかでライトな聴き心地のボーカルの組み合わせがリスナーの心を掴みロングランヒットを記録。この楽曲が収録されているアルバム『EVERYTHING YOU WANTED』は韓国大衆音楽賞および韓国ヒップホップアワードで「最優秀R&B&ソウル・アルバム」に、Jay Park自身も「今年のアーティスト」として選出された。

プロデューサーユニットGroovyRoomとHEIZEの「Sunday」や、IUとの「GANADARA」など、女性アーティストとの共演でも、彼の歌声は柔らかなハーモニーを奏でる。そんな質感の歌声を活かし、ボルチモアクラブの要素を取り入れつつ清涼感のある「Why」やaespaニンニンとの「Sip Ona Lil Sum’」など夏に聴きたい開放的な雰囲気の楽曲も数多くリリースしている。

ここで紹介しきれないほど数多くのヒット曲を持ち、また2つのレーベルオーナーとして国内シーンの成長に貢献してきた経歴から、韓国内で圧倒的な人気を誇るHIPHOPサバイバル番組『SHOW ME THE MONEY』シリーズにもプロデューサー/チームリーダーとして出演。シーズン6ではSimon Dominicと共にBewhYを、シーズン11ではSlomと共にイ・ヨンジを優勝へ導いた。

荒々しくもメロウでセクシー、ラップとボーカルを使いこなす柔軟さと鍛え抜かれた肉体によるキレキレのダンス。そんなJay parkのパブリックイメージを作り上げた楽曲を挙げるならば、やはり「몸매 (MOMMAE)」だろう。シンセパッドのメロディやキャッチーなタイトルのリフレインが印象的なこの曲は、成人指定がかかるほどのセクシーなMVも相まって現在でも彼の代表曲となっている。

「몸매 (MOMMAE)」のリリースから10年を記念して、2025年にはソロアーティストであるチョン・ソミを迎えた新曲「Keep It Sexy (MOMMAE 2)」がリリースされた。原曲の特徴的なメロディを近年流行するクラブ仕様のダンスミュージックに落とし込み、かつ女性ボーカルを迎えることで原曲とはまた違った官能性を演出している。

前述のニンニンやソミだけでなく、DAVICHI(「WHITE」)、OH MY GIRLユア(「Candy」MV)、チョンハ(「Gimme A Munite」)、MAMAMOOファサ(「Love Is Ugly」)、KISS OF LIFEナッティ(「Taxio Blurr」)などK-POPアーティストとの楽曲も多数。またHIGHER BROTHERSやAwich(「ASIAN STATE OF MIND (Prod. Diego Ave)」)、2 Chainz(「SOJU」)、Ty Dolla $ign(「Mayday」)、Charlie XCX(「Unlock It」)などアジア圏のHIPHOPアーティストから欧米のポップシーンで活躍するアーティストまで国境を越えたコラボレーションを行っている。

HIPHOPからオーバーグラウンドな音楽シーンまでをその活動領域とし、数々の名曲を生み出してきたJay Park。そんな彼の約6年ぶりとなる来日公演は、7月28日に神奈川・KT Zepp Yokohama、7月30日に大阪・Zepp Osaka Baysideにて行われる。ワールドツアー「Serenades & Body Rolls」の一環として行われる今回の公演は、彼の音楽性とエネルギッシュなパフォーマンスを最大限に詰め込んだものとなっているという。既に公開されているツアーのメイキング映像では、セットリストの決定から大勢のダンサーと振り付けを確認する様子に加え、このツアーにかける想いが率直に語られている。

10年以上に渡るキャリアを誇り、世界を股にかけて活躍するエンターテイナーJay Parkの現在地を、東京・大阪の2会場で体感して頂きたい。

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