ADOYが織り成すドリーミーな世界　Mind Travel出演ライブレポート

ADOYが、10月26日に東京・東急歌舞伎町タワーにて開催された今年4年目を迎える音楽フェスティバル『MIND TRAVEL』に出演した。

韓国の4人組シンセポップバンド・ADOYは、2017年リリースの1st EP『CATNIP』でデビュー。2018年に2nd EP『LOVE』、2019年に1st アルバム『Vivid』などコンスタントにリリースを重ね、BTSが大賞に輝いた『ソウルミュージックアワード2019』で「審査員特別賞」を受賞。その後も、2021年に3rd EP『her』のリリースや2022年にはUSツアーの開催など、ドリーミーなサウンドと独自の音楽センスがアジア全域で人気を誇り、欧米も含めグローバルに支持を集めている。今回は、2019年の初来日以降、約5年ぶりの来日となる。

オンタイムを迎えると、オ・ジュファン（Gt. / Vo.）、ジー（Syn.）、チョン・ダヨン（Ba. / Vo.）、パク・グンチャン（Dr.）、パク・ジェヒ（Gt.）の5名がステージに登場。メンバーが定位置につくと、赤いライトのなか歪ませたギターサウンドが鳴り響き、軽快に「Laika」で幕を開けた。この日は新旧織り交ぜたセットリストで、立て続けに最新アルバム『PLEASURES』よりライブアレンジが効いた「Meeting Place」や、2021年リリースの3rd EP『her』より「NY」などを披露。曲ごとに変わるZepp Shinjuku (TOKYO) ならではの、スクリーンと両サイドの壁面LEDビジョンを使用した演出も秀逸。キラキラとしたシンセサウンドにドリーミーかつシューゲイザー、オルタナティブな要素もある耳心地が良いパフォーマンスで前半戦からオーディエンスを一気に魅了していった。

「はじめまして。俺たちはADOYです。楽しいですか？（笑）」とオ・ジュファンが日本語で投げかけると、その流れから「San Francisco」へ。「Come on! Come on!」とオーディエンスを巻き込み、爽やかで優しいサウンドながらもパッション溢れるアクトに、時折ジャンプしながら楽しそうに全身で音楽を体現するメンバーの姿が印象的。会場全体の高揚感をグイグイと引き上げるバンドサウンドで、ADOYの織りなす世界感が会場中を包み込んでいった。

途中のMCでは、韓国語と練習した日本語を織り交ぜながらオーディエンスとコミュニケーションをとり、「雰囲気がいいですね！」と喜びを口にする温かいシーンも。その後も「Bike」、「Wonder」とアンセムナンバーを立て続けに披露し、ライブアレンジの効いたエレクトロなサウンドが心地良い「Avenue」をドロップ。曲を終え、歓声のなか暗転すると、スクリーンにモノクロの宇宙服の人が歩く映像が流れだし「I Just Can’t Forget Her」へ。曲が進むごとに変わるサイケデリックな演出と、ひたすら煌びやかなシンセ、安定感のあるバンドが届ける“どストレート”な音楽に、オーディエンスも思い思いに体を揺らした。

ライブ終盤、笑顔で満足そうに一息つくと、オ・ジュファンが来日してから日本人によく間違えられるそうで、日本語に翻訳した文章を読みながら「無口な日本人のふりをします（笑）」とお茶目にコメント。その後のメンバー紹介では、ベースのチョン・ダヨンがステージ上のモンチッチを手にする姿がとてもキュートだった。

「Thank You For Coming Tonignt.」と感謝を伝えるとオーディエンスから温かい歓声が沸き起こり、その流れのままシュワシュワとしたドリーミーなナンバー「Grace」へ。そして、ラストに披露したのは「Don’t Stop」。観客にスタンドマイクを向け、イントロのコーラス部分をオ・ジュファンが熱唱すると、シンガロングやクラップが沸き起こり、共に同じ時間を楽しもうとする心意気、そして情熱的な音楽が会場にハートウォーミングな一体感を生み出した。鳴り止まない長い拍手と歓声が起こるなか、メンバーは最後にステージ上で横一列にならび一礼。約46分におよぶステージをあとにした。国を超えて人々を魅了するADOYの魅力がたっぷり伝わるステージだった。日本での再来日をまた期待したい。