インディペンデントで継続してきた活動の集大成と言える1stフル・アルバム『A Call From My Dream』(2020)が韓国のグラミー賞と称されるアウォード「韓国大衆音楽賞」にて新人賞を受賞し、一躍注目を浴びたシンガー・Meaningful Stoneが、ドリーム・フォーク、シューゲイズからニューメタル、テクノまで内包して音楽的な飛躍を見せた昨年発表の2ndフル・アルバム『Angel Interview』を携えて来日。日本では初の単独公演を行った。

  • Meaningful Stone チケット即完の初来日公演で魅せた熱狂 ライブレポート

エンディング・テーマとして1stアルバムのタイトル・トラック「A Call from my Dream」を提供するのみならず、俳優業にも挑んで話題を呼んだ映画『ケナは韓国が嫌いで』(チャン・ゴンジェ監督)の日本封切り後に控えた公演ともあって、期待値が非常に高いのでは……と考えてはいたものの、日本におけるその熱量が幾許のものかは、初日のチケットが完売という情報を踏まえてもなお、正直に言って測りきれずにいた。

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しかしひとたび会場へと足を踏み入れると、その思案がいかに無駄な時間であったかを思い知らされた。その場にいる誰もが、彼女の歌を、空気の振動を介して直接受け止めたいと願って止まなかった人々であることは明らかだった。公演に足を運ぶという行為自体そういうものであるのだから、あたりまえと言えばあたりまえなのかもしれないが、すべて聴き逃すまいとする集中力から生じる熱狂が詰まった会場はそうそうないだろう。

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オープニングは、キャリア中で最も『Loveless』的と言える『Angel Interview』収録の幽玄なるシューゲイズ・チューン「Red Car」。元SE SO NEONのメンバーを擁するトリオを従えての轟音曲を冒頭から披露するあたり、大規模フェスティヴァルを含む数々の場数を踏んできたがゆえの自信が伺える。映画へのフィーチャーで2度目の旬を迎えていると言えるアンセム「A Call From My Dream」をさらりと続けて放ってしまうのも自信の表れであろう。

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実際、録音物ではどちらかと言えば静謐で内省的な楽曲、例えば「Westin Josun Hotel」などを披露する際も、外向きで観客を巻き込んでいこうとするエナジェティックな演奏が印象的だった。それもライヴ・パフォーマンスであるのだから当然なのかもしれないが、録音物と生演奏の間に良い感触での乖離が伴い、かつそれが観客にポジティヴな影響をもたらすには、パフォーマーとしての高い力量が求められるだろう。客をいじる、フリーレン様への愛を語るといったチャーミングというか陽キャなMCの意外性も、フロアの心を掴んだに違いない。

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そのエネルギーは、2021年発表のEP『COBALT』に収められたグランジィなタイトル・トラックからさらに加熱。本編ラスト・ソングとなった『Angel Interview』収録のラップメタル「ESC」ではBIOHAZARDばりの客煽りも交えて爆アゲのフィナーレを迎えた。
アンコールは現在に至る人気の着火点と言えるターニングポイント曲「Beep-Boop, Beep-Boop」。ここにも朗らかなサービス精神が垣間見え、充実の日本初演をハッピーに締め括るのであった。

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Setlist

1.Red car
2.꿈에서 걸려온 전화(A Call from My Dream)
3.미카엘(Mikael)
4.손님별(Supernova)
5.이름이 없는 사람(Nameless)
6.우리의 심장이 같은 속도로 뛸 때(When our hearts beat at the same pace)
7.꿈에서 걸려온 부재중 전화(A missed call from my dream)
8.활엽수(Oak tree)
9.Westin Josun Hotel
10.아참,(A-Cham!)
11.Psychomania
12.COBALT
13.비 오는 거리에서 춤을 추자(Dancing in the rain)
14.속세탈출(Esc)
15.삐뽀삐뽀(Beep-Boop, Beep-Boop)

Writers

  • 久保田千史

Photographers

  • エドソウタ

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