「J.E.T. TOUR SERIES [Dabin] presented by. WON SOJU」が大阪、東京の2都市で行われた。本稿では、6月30日に渋谷WWW Xにて行われた東京公演の様子をレポートする。

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暗転の後、今回のゲストアーティスト・西洸人(INI)が登場。彼はダンサーとしての活動を経てサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」に参加し、11人組グローバルボーイズグループ・INI(アイエヌアイ)のメンバーとしてデビュー。グループでの活動と並行して作詞作曲や他アーティストとのコラボレーション、またDJとして各種イベントへの出演も行っている。彼がインタビューなどで度々尊敬するアーティストとしてDabinの名前を挙げていたということもあり、両者の共演を一目見ようというファンも多く見受けられた。

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今回はDJとしての出演となり、「耳で聴いて、体で感じて欲しい」「お互いの動画(撮影)の邪魔し合ってください」と冗談を交えつつ意気込みを語ってスタート。Dizzee Rascal「Bassline Junkie」、NGHTMRE「Street」、Skrillex & Diplo「Dirty Vibe(feat. G-DRAGON, CL)」、Jennie「Like Jennie」、Fred Again… & Baby Keem「leavemealone」といったダブステップ、ベースミュージックを中心にドラムンベース、バイレファンキにボルチモアクラブといったトレンドも取り入れたとにかくダンサブルなセットを展開。自身のグループINIの楽曲「WMDA(Where My Drums At)」「DOMINANCE」やDabin「WMP freestyle」などもセットに組み込み、思わぬ選曲にファンは歓声で応えた。30分前後というやや短めのセットながらも、宣言通り耳だけでなく体に響くサウンドをシームレスに繋ぎフロアを沸かせ、「僕もずっとDabinさんのことが大好きで、同じステージに立てて光栄です」「皆さんも楽しんでいってください」とDabinへバトンを繋いだ。

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セットチェンジを挟み、アレンジされた「Irregular」のイントロの中Dabinが登場。ステージの端から端まで動き回りながらも安定感のある発声で繰り広げられるラップは、サイケデリックな映像の演出と合わせて観客を音と光の世界に引き込む。続く「Green Juice」では心地よいアフロビーツのリズムでフロアを揺らし、「楽しむ準備は出来てる?」とそのまま浮遊感のあるシンセパッドが特徴の楽曲「Kiss the ring」を披露。彼自身が楽曲に没入し、音の波と戯れるような身のこなしが印象的だった。
「Tic Tac?」では時間に縛られることなく自分自身へ向き合うことを歌い、YouTube上のみで発表されている楽曲「Cookie Crumble」ではDPR LIVEから本名へと改名を経た彼の過去、現在、未来を繋ぐリリックを重低音の中で響かせる。MCでは「皆さんのエネルギーがすごい」と観客の熱い声援に感嘆しつつ、ファンから受け取ったプレゼントのエピソードを挟み「ありがとうございます」と日本語で感謝を伝えた。

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「Saucer」「KR.」の刻まれたハイハットとオートチューンのかかったボーカル、エレクトロ要素の強いサウンドは近年の潮流であるRageジャンルに近いものだが、ハードコアなHIPHOPが持つある種の毒気や暴力性よりもむしろ心地良さと独特の高揚感が感じられる。今回の公演ではDPR LIVE名義でリリースされた過去の楽曲は披露されなかったが、当時から変わらない英語、韓国語を織り交ぜたリリックと滑らかなフロウは今もなお健在。ラップと歌の境目を行き来するようなボーカルワークにライブならではのエネルギッシュなアドリブも加わり、ライブ終盤に至るまで熱く、それでいて柔和な雰囲気が会場を包み込んだ。

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「次会う時まで体に気をつけて過ごして」とオーディエンスに優しい言葉をかけながら、最後に「See Through」をパフォーマンス。ファンや周囲のスタッフ、サポートしてくれた友人たちへの感謝を述べる一幕からは、彼のファン想いで謙虚な一面も伺えた。Dabinがステージ袖で観覧していた西を壇上に迎え入れ熱いハグを交わすと、フロアからはこの日一番の歓声が上がる。その後もしっかりと時間を取って観客との交流を行い、約2年ぶりとなる日本のファンとの幸せな再会に幕を下ろした。

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西によるDJセット、Dabinのパフォーマンスは共通して「音に合わせて踊る」という根源的な楽しみ方を提示していたように感じた。今回の公演はステージに立った2人だけでなく、双方のファンやリスナーにとってもジャンルや国境を超えた交流のきっかけとなったのではないだろうか。こうして生まれた交流が新しい音楽を生み、更なる次世代のアーティストを生んでいくことは想像に難くない。J.E.T TOUR SERIESは、そんな日韓シーンのハブとなる公演を東京・大阪の2箇所で開催している。今後の開催も予告されているので、今回の公演に来られなかった方も是非現地でK-HIPHOPシーンの豊かさと新しさを目撃して欲しい。

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Setlist

Dabin
1.Irregular
2.Green Juice
3.Kiss The Ring
4.Tic Tac?
5.Cookie Crumble
6.Unconscious interlude
7.Saucer
8.Chemist
9.KR.
10.See Through

Writers

  • 火気厳禁

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